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はじめに

時代が大きく変化していく中で、同窓会の運営も変革が必要かもしれません。

「もしかすると他校同窓会の活動からヒントを得ることがあるかもしれない」そのような考えから、2023 年 7 月~8 月にかけて九州・山口県の高校同窓会のホームページを調べ、活動が充実していると考えられる 68 校を対象に、同窓会運営に関するアンケート調査を行いました。依頼文書を各同窓会の問い合わせ先へ郵送し、Web フォームからの回答方法を取りました。(51.5%にあたる 35 校より回答)

Google フォームによる各設問への回答結果については、既にグラフ化して評議員会にて発表しましたが、今回は、そこから見えてきたものというテーマで、西南学院高校同窓会との比較や参考という視点からアンケートを読み解いていきます。

2024 年 6 月

目次

1 会員数、入会方法について

2 同窓会事務局について

3 同窓会の運営について

4 支部、同窓会関連団体について

5 入会金、年会費について

6 総会懇親会について

7 会員情報について

8 同窓会報について

9 ホームページ、SNS について

10 同窓会活動の DX(デジタル化)について

11 在校生への奨学金制度について

12 母校、在校生への支援について

13 学校、教職員との交流について

14 現役生への支援金について

15 系列学校(小学校、中学校、大学等)との交流について

16 同窓会活動全般について(活動の困難や悩み)

17 総括

1 会員数、入会方法について

  • 卒業時の入会が大半となっている(36校中29校)
  • 入会の意思確認を必要とする学校もある
  • 西南学院高等学校同窓会の場合:卒業時に入会(意思確認なし)
  • 若年時に同窓会入会の可否を判断することは難しく、西南学院高校同窓会としては現行のままで差し支えないと考えている

2 同窓会事務局について

  • 大半の同窓会に事務局が存在。(36 校中30 校)
  • 事務員構成としては、常勤 1~2 名、勤務頻度は週 3 日または5 日の回答が多い。
  • 時給・月給それぞれ分かれており、なかには交通費のみ、無給という回答もあり。
  • 事務局がない同窓会については、

  ・事務局の役目を学校が代行して活動

  ・同窓生の教職員で分担

  私立か公立かでも事務局の在り方が違う。西南学院高校同窓会では中・高・大の同窓会連合会として同窓会事務局が存在しており、他校と比較しても充実した環境にあるといえる。

3 同窓会の運営について

  • 1 校を除き、運営についての会議は存在するとの回答。

  理事会、評議員会、幹事会、役員会、委員会など、名称は違えど西南学院高校同窓会と同様な形での運営がなされている。

4 支部、同窓会関連団体について

  • 地域、職域、クラブなどの属性による支部が多く存在。(36 校中 30 校)
  • 約半数に異業種交流会、クラブ OBOG 会、ゴルフ会などの関連団体が存在。

西南学院高等学校同窓会では 

・関東、関西支部など地域属性の支部運営

・クラブOBOG 会による各クラブ属性の取りまとめ

・異業種交流会として「輝西会」

・同窓会連合会による中高大同窓会の交流活動

・100 周年を機に財団「西南一粒の麦基金」を立ち上げ、青少年育成を支援など多方面での交流・活動を行っている。

5 入会金、年会費について

  • 年会費制が半数近く(16 校)。
  • その他には在校生会費(在学中に徴収)が4校、終身会費が3校など。
  • 西南学院高校同窓会では終身会費制としている。年会費制の徴収方法については興味深いところである。

6 総会懇親会について

  • 大半が毎年開催。規模についてはまちまちで、茶話会規模での開催とホテル開催では運営にかかる経費の比較が難しいため、各校の懇親会費については参考程度として理解。
  • 運営資金についてはチケットや協賛広告からの収入が多く、一部同窓会費からの捻出という回答もあり。
  • 会費については年齢、社会人、学生といった区別で金額を分けている学校と、一律の学校がほぼ半々。
  • 会費の徴収については紙チケットが回答の半数、事前振込や電子決済もほぼ半数。複数回答可の質問のため、西南学院高校同窓会のように両方を採用といった学校もあった。
  • 運営についてはほぼ当番幹事制で、そこに同窓会事務局や専門委員会、同窓会役員などが加わるという回答が多数。
  • 特色、プログラム(自由記述)について、印象深い回答としては、以下のとおり。

      ・母校体育館で 1000 人規模の開催

      ・米寿、喜寿、古希などのお祝いセレモニー

      ・講演会後に移動し、地元のホテルで懇親会

      ・現役高校生によるアトラクション

    • 参加者増進の取り組み(自由記述)について、印象深い回答としては、以下のとおり。

        ・ゴルフコンペ

        ・就職セミナー、異業種交流会の開催

        ・成人を祝う会

        ・女子部会総会

        ・39 歳以下の同窓会(40 歳当番幹事制)

        ・記念講演

        ・若年層は金額を安くしているが、当番幹事を務めるまでは目立った成果なし

      • 西南学院高校同窓会では当番幹事制のもと、毎年ホテルでの開催を基本としている。開催規模は国内でも最大級であると思われる。

        会費については、従来の紙チケットに加え2024年度から電子チケットを導入。 アトラクションや参加者増進の取り組みについては、他校の状況も参考としたい。

      7 会員情報について

      • 同窓会事務局管理(22 校)、外部委託(11 校)。外部委託での管理方法については回答校にもう少し深く質問してみたい。
      • 会員情報の更新については、HP やシステムへの入力、管理者へ連絡など対象者による申請が多数。旧情報委員会が行っていた学年からの報告という回答も一定数あり。
      • 西南学院高校同窓会では西南学院にて会員情報を管理。(HP からの変更が中心)

      8 同窓会報について

      • 回答校の大半が年一度の発行。
      • 会報の内容については、

        ・総会懇親会や予算決算の報告

        ・150 ページ規模の会報を毎年発行

        ・寄付及び母校支援のお礼

        ・社会で活躍する同窓生からの寄稿  などの回答あり。

              ・西南学院高等学校同窓会では、年に一回(04月)発行 中・高・大同窓会で、委員会を構成し、連合会としての会報誌となっている。

      9 ホームページ、SNS について

      • HP の運用管理は同窓会事務局が圧倒的多数。特定の委員会による管理もあり。 SNS についてはフェイスブックの利用が圧倒的多数。
      • SNS での告知効果について(自由回答)は、

        ・告知を見て遠方からの参加があった

        ・インスタライブに 300 人の閲覧があった

        ・HP よりも質問に早く対応できている    などの回答あり。

       ・西南学院高等学校同窓会のHPは、広報委員会にて運用管理。SNSについてはFacebookを利用

       

      10 同窓会活動のDX(デジタル化)について

      • 同窓会活動の DX 化について(自由回答)は、

        ・QR コードによる総会受付

        ・名簿管理、ホームページ管理のアウトソーシング

        ・高齢者への配慮で進展していない

        ・電子チケットや会報の電子化

        ・ペーパーレスの進行  などの回答あり

       ・西南学院高校同窓会では、DX 委員会を置き、WEB を活用した理事会・評議員会の出欠取りまとめや評議員会を

        はじめとした各種会議資料のペーパーレスを進めている。今年から同窓会総会・懇親会に電子チケットも採用した。

        理事や評議員に向けた連絡のための公式 LINE アカウントを作り、会合への出欠回答や緊急の連絡のデジタル化を推進。

      11 在校生への奨学金制度について

      • 在校生への奨学金制度について(自由回答)は、

        ・対象者 10,000 円/

        ・同窓会から奨学会へ移行して運営

        ・奨学金交付事業も視野に入れ、公益財団法人を創立百周年の機会に設立

        ・月 2 万円の奨学金支給し、該当生徒には卒業後の同窓会活動への協力を義務付けなどの回答あり。

       ・西南学院高等学校同窓会では、現在、在校生への奨学金制度は設けていない。

      12 母校、在校生への支援について

      • 母校、在校生への支援について(自由回答)は、

        ・部活動支援、全国大会出場お祝い金

        ・海外留学援助、国際交流事業支援金

        ・スーパーサイエンスハイスクール事業への助成

        ・職業講座への講師派遣

        ・マイクロバス購入     などの回答あり。

       ・西南学院高校同窓会では、母校連携委員会を中心に、クラブ活動支援金・生徒活動支援金の贈呈や体育祭でのドリンク贈呈など様々な支援を   行っている。

       

      13 学校、教職員との交流について

      • 学校教育に対して同窓会の意見を言える機会がある学校は 16 校程度。
      • 教職員との交流は2/3程度の学校に機会がある。保護者会との交流は少ない。

       ・西南学院高等学校同窓会では、母校連携委員会が、教員との懇親会を定期的に実施。保護者会(後援会・母の会)との交流は少ない

      14 現役生への支援等について

      • 現役生への支援等について(自由回答)は、

        ・進路ガイダンス

        ・卒業生座談会

        ・学校からの依頼を受け、同窓生を紹介        などの回答あり。

       ・西南学院高等学校同窓会では、設問12にて記載した支援を実施。

      15 系列学校(小学校、中学校、大学等)との交流について

      • 対象校が少ないため回答自体が少数(10 校)。
      • 対象校でも交流しているのは 3 校程度
      • 西南学院高等学校同窓会では、中・高・大の同窓会連合会としての交流や活動を実施。毎月の三専務理事会での活動情報の交換。

        2023 年度からは交流企画委員会を設置し、連合会の活動への協力体制を強化。

      16 同窓会活動全般について(活動の困難や悩み

      • 若い年代の動員については各校が苦戦している。また、若年層と高齢者との同窓会への関心度に差がある。
      • 会費について、入会辞退などの問題を抱える学校がある。
      • 情報管理については、個人情報管理を懸念する回答が目立つ。
      • その他、当番幹事制の継続の難しさ、広報のありかた、支部の運営維持についての悩みも見受けられる。
      • 活動における困難や悩みは西南学院高校同窓会においても同様

      総括

      総会・懇親会の出席が 1200 人を超える西南学院高校同窓会は、福岡県や九州のなかでも屈指の同窓会組織といっても過言ではないと思います。そこからさらに新しい情報を取り入れ、同窓会の進化を目指して行ったアンケートでしたが、規模に関わらず、各校それぞれが母校や現役生、同窓生に思いを寄せた活動を行っていることに気づかされました。

      150 ページを超える同窓会報や、公益財団法人を設立のうえ奨学金交付事業を目指す活動など、もっと深く話を聞いてみたい回答もたくさんありました。

      本アンケートを担当した交流企画委員会は、その活動目標のひとつに「他校同窓会との交流」を掲げています。このアンケートをきっかけに、他校同窓会との実りある交流を進めていくことが出来ればと考えています。

       

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